田舎暮らしの値段Ⅰ
2016年03月12日 徒然日誌(移住の準備のこと)
都会から訪ねる人があれば、まず産直所にお連れするがいい。 目を輝かせるだろう。ついで、牧場付きの直売店で馬刺しやソーセージを買い、浜で穫れた魚をさばいて、カニも茹でてふるまってみよう。眼が恍惚とうるむだろう。最後に温泉に入っていただこう。目をつむって呻ることだろう、極楽~。
彼ら彼女らの口から、新鮮!、美味い!、こんな安くていいの!!、信じられない!、・・・などの感嘆語が次々に連発されると、つきあう私たちもいい気分になる。そして思う、田舎には良くて安いものがたくさんある。
地方移住セミナーなどで、生活費に関する質問が出されると、田舎は物価が安いし、いただきものや物々交換のような風習も残っているので、安く暮らせますよ、とファジーな回答がおしなべてある。
でも、これは、本当にそうなのだろうか。
私は、これから地方生活をはじめようとする人たちに、生活費が安くおさまるよ、と無条件に言ってしまうのは、誤った認識を与え、危険だと思っている。
確かに、物価、あるいは科目ごとの出費を単純比較すれば、全体としてやや安くあがる。例えば、土地代や家賃が大幅に安い。生鮮食品も野菜を中心に安い。だが、加工品や一般消費材は、薄利多売がきかず、意外に高いし、冬場の暖房費がかさみ、車が日常生活で不可欠となりガソリン代もかかる。
総体で推せば、都市部で100かかったものが、田舎では80-90でやれるかな、という感覚である。
ところが、生活は、収入(=購買力)との兼ね合いの上にある、それを忘れてはいけない。一昨年のデータで見ると、私たちが以前、住んでいた横浜市の年間平均所得が396万円、現在の三種町の平均は222万円。なんと4割を超える違いがある。
都市部で100の収入を得ていたものが、田舎では60になってしまう、ということである。
潤沢な蓄えのもとで悠々自適するなら是非どうぞだが、働きながら生活を維持させようとするなら、60の稼ぎに80-90の出費が要るわけで、預貯金を取り崩しながら頑張らないといけない。
言うまでもなく、これは平均値に基づく、かなり乱暴な比喩である。地方の中枢・中核都市か、その周辺町村かによって事情は異なってくるし、なによりも個人の価値観による消費行動が大きく影響する。
ただ、冒頭のシーンで、都会からの来客者が、安い安いを連発するのは、こちらで目に触れ、手に取りやすい食糧品やお土産、観光などの閉ざされた領域の出来事であり、しかも都市部の収入感覚での発言である。実際の生活と違うことを知って欲しい。
さて、今回は先の「シニアの田園回帰に吹く逆風」の続編のかたちになる。以下はシニア層に対するメッセージとなる。
シニア世代の移住志向は「現在の都市生活の水準や様式をそのままに、地方都市での生活を快適・優雅に送る」というものが大勢のようである。であるなら、前述の図式が当てはまる。
つまり、生活費は地方住まいになるからと言って、画期的には落ちないということである。移住に伴う引っ越しや住まいの建設・改修など、過渡的なコスト負担も必要となる。
一般的に、退職によって、減少する支出は、外食費、職場交際費、服飾費であり、逆に増加するものは公共料金や旅行等のレジャー費と言われる。加齢によって、医療費や介護費もかかってくる。
住民税や健康保険料は、前年の収入によって従量算定される。あらかじめ試算できるが、実際に徴収の段になると、所得がなくなった身にボディーブローにように効く。
そういうものを包括した資産管理・計画が重要となる。
KINZAIという月刊誌がある。ファイナンシャルプランナーの専門誌である。この3月号に「シニアの地方移住アドバイス」特集がされている。シニアの地方移住へのFPアドバイスという章があって、具体的な数値や事例も掲載されている。興味のある方はお求めになってはいかがだろうか。参考になると思う。ちなみに私たちのことも見開きで紹介されている。
・・・・・・ということで、なにか優等生が警鐘するような作文になってしまった(と反省)。シニアの田園回帰に吹く逆風に追い討ちをかける内容にもなったような・・・・・・・。
そこで次回は、ひとつの希望の事例を紹介したい。それは、私たち夫婦のリアルである。移住後に生活費が劇的に下がったのである。しかも、生活の質はむしろ上がったと感じている。それは大きく生活スタイルを変革させたことによってもたらされた。
発想を変え、ファットなそれまでの生活様式を捨てた。丁寧に生きていく田舎生活に挑んだのであり、その挑みと獲得というプロセスこそが地方移住の醍醐味だと想っている。
シニア世代よ、守るな、チャレンジせよ!地域の人財たれ!調で攻めかかってみたい。

移住をお考えのシニアの方、それを受け入れるみなさん 読んでみてください
彼ら彼女らの口から、新鮮!、美味い!、こんな安くていいの!!、信じられない!、・・・などの感嘆語が次々に連発されると、つきあう私たちもいい気分になる。そして思う、田舎には良くて安いものがたくさんある。
地方移住セミナーなどで、生活費に関する質問が出されると、田舎は物価が安いし、いただきものや物々交換のような風習も残っているので、安く暮らせますよ、とファジーな回答がおしなべてある。
でも、これは、本当にそうなのだろうか。
私は、これから地方生活をはじめようとする人たちに、生活費が安くおさまるよ、と無条件に言ってしまうのは、誤った認識を与え、危険だと思っている。
確かに、物価、あるいは科目ごとの出費を単純比較すれば、全体としてやや安くあがる。例えば、土地代や家賃が大幅に安い。生鮮食品も野菜を中心に安い。だが、加工品や一般消費材は、薄利多売がきかず、意外に高いし、冬場の暖房費がかさみ、車が日常生活で不可欠となりガソリン代もかかる。
総体で推せば、都市部で100かかったものが、田舎では80-90でやれるかな、という感覚である。
ところが、生活は、収入(=購買力)との兼ね合いの上にある、それを忘れてはいけない。一昨年のデータで見ると、私たちが以前、住んでいた横浜市の年間平均所得が396万円、現在の三種町の平均は222万円。なんと4割を超える違いがある。
都市部で100の収入を得ていたものが、田舎では60になってしまう、ということである。
潤沢な蓄えのもとで悠々自適するなら是非どうぞだが、働きながら生活を維持させようとするなら、60の稼ぎに80-90の出費が要るわけで、預貯金を取り崩しながら頑張らないといけない。
言うまでもなく、これは平均値に基づく、かなり乱暴な比喩である。地方の中枢・中核都市か、その周辺町村かによって事情は異なってくるし、なによりも個人の価値観による消費行動が大きく影響する。
ただ、冒頭のシーンで、都会からの来客者が、安い安いを連発するのは、こちらで目に触れ、手に取りやすい食糧品やお土産、観光などの閉ざされた領域の出来事であり、しかも都市部の収入感覚での発言である。実際の生活と違うことを知って欲しい。
さて、今回は先の「シニアの田園回帰に吹く逆風」の続編のかたちになる。以下はシニア層に対するメッセージとなる。
シニア世代の移住志向は「現在の都市生活の水準や様式をそのままに、地方都市での生活を快適・優雅に送る」というものが大勢のようである。であるなら、前述の図式が当てはまる。
つまり、生活費は地方住まいになるからと言って、画期的には落ちないということである。移住に伴う引っ越しや住まいの建設・改修など、過渡的なコスト負担も必要となる。
一般的に、退職によって、減少する支出は、外食費、職場交際費、服飾費であり、逆に増加するものは公共料金や旅行等のレジャー費と言われる。加齢によって、医療費や介護費もかかってくる。
住民税や健康保険料は、前年の収入によって従量算定される。あらかじめ試算できるが、実際に徴収の段になると、所得がなくなった身にボディーブローにように効く。
そういうものを包括した資産管理・計画が重要となる。
KINZAIという月刊誌がある。ファイナンシャルプランナーの専門誌である。この3月号に「シニアの地方移住アドバイス」特集がされている。シニアの地方移住へのFPアドバイスという章があって、具体的な数値や事例も掲載されている。興味のある方はお求めになってはいかがだろうか。参考になると思う。ちなみに私たちのことも見開きで紹介されている。
・・・・・・ということで、なにか優等生が警鐘するような作文になってしまった(と反省)。シニアの田園回帰に吹く逆風に追い討ちをかける内容にもなったような・・・・・・・。
そこで次回は、ひとつの希望の事例を紹介したい。それは、私たち夫婦のリアルである。移住後に生活費が劇的に下がったのである。しかも、生活の質はむしろ上がったと感じている。それは大きく生活スタイルを変革させたことによってもたらされた。
発想を変え、ファットなそれまでの生活様式を捨てた。丁寧に生きていく田舎生活に挑んだのであり、その挑みと獲得というプロセスこそが地方移住の醍醐味だと想っている。
シニア世代よ、守るな、チャレンジせよ!地域の人財たれ!調で攻めかかってみたい。

移住をお考えのシニアの方、それを受け入れるみなさん 読んでみてください