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シェアビレッジの正体

2016年02月21日 徒然日誌(余話)
 昨日、「高質な田舎づくりに向けた実践フォーラム 秋田の活力2016」という催しがあり、聴講に行ってきた。 食べ物つき情報誌「食べる通信」編集長の高橋博之氏の基調講演に続き、五城目シェアビレッジ村長の武田昌大さんを含む精鋭4名によるパネルディスカッションという構成。興味深く拝聴した。
 こういうフォーラムやセミナーにもっと参加したいと思うが、週末に集中するので、商売柄、難しい。今回も、ランチ予約のお客さまにひと段落つけて、急ぎ駆けつけたが、せっかくの基調講演は終わりかけで残念だった。

 このフォーラムには、平成17年から10年にわたる「Akita活力人育成セミナー」によるコーディネータ育成がベースにある。2年を1期として、延べ100名の人材を輩出した。昨年からは、人材育成から実践期へとフェーズを移し、県内のさまざまな地域でさまざまな活動が展開されている。フォーラムはその事例紹介を兼ねていた。
 地域活性化活動が実践され、効果が得られるまでにはさまざまな壁がある中、こういう施策を行政が10年以上推し進めているのは、なかなか稀有ではなかろうか。効果が視えなければ、すぐに税金の無駄遣いという声もあがるが、このフォーラムに集まった顔ぶれを見れば、長い目で見守ることが大切と思った。

 さて、シェアビレッジのことである。
 五城目の古民家を再生したこのヴァーチャル村のことは、仕掛け人である武田昌大さんから構想の段階でうかがっていた。昨年、開村した際は「ほお、ついにやったか」と感じ入ったが、昨日のトークを聴きながら、ふと思い当たることがあった。
 それはこのシェアビレッジというコミュニティを支えている力はなにか、そしてシェアビレッジが支えていこうとしているものは、なにかということである。

 1,000人を超える村民の、実際の居住地は、過半数が首都圏である。また、年代は30歳前後をピークにした若い世代に傾斜している。
 都市は消費社会であるから、消費能力の高い者、つまり金を稼げる人、金を持っている人がエライ。そういうモノカルチャーな社会にあって、派遣社員やブラック企業などのしわ寄せは若者に集中し、出口の見えない閉塞感に包まれている。
 不寛容な時代、と言われる。私も、都市生活時代、心のざらつきや乾きを覚えることがあった。地方移住のモチベーションのひとつと云える。で、実際に移住してしまったわけだが、このような大転換をみながみな、出来るわけではない。人はそれぞれいろいろな事情を抱えている。
 少し乱暴な言い方を許してもらえば、だったら無理に移住することはないでしょ、都市と田舎を折りたたんで、シンパ層のコミュニティをつくりましょう、というのがシェアビレッジである。地方に移住できる人はすれば良い、二地域居住という選択肢もある。しかし、それよりもっと緩やかな地方との関係があってもいい。旅行で温泉に行き、美味しいものをたべ、名所旧跡を巡るのとは、ちょっと違う。そこには田や畑や川があり、お帰りと声をかける友人がいる、つまりふるさとがある、そういうことである。

 都市と地方の関係は対比するものとしてとらまえられてきた。手のひらと甲のようなものだ。だが、従属関係に近い格差が長くあった。シェアビレッジはそれを壊す。ひらであろうが、甲であろうが、同じ手なのである。
 シェアビレッジは、都市部を中心にした全国の若者層に支えられている。そしてスパイラル的に、彼ら彼女らを支え、新たな価値を創造するコミュニティの場に発展する兆候をみせている。日本は、存外、面白い国になっていくかも知れない。

 是非、この活動がシニアの世代にも拡がっていって欲しい。同一世代の共鳴が、世代を超えたものになれば、世の中がかわる。3,000円の年貢で村民になれる。3,000円でなにかが物理的に手に入るわけではないが、ちょっと気持ちのよいお金の使い方になるはずである。
 ちなみにわたしも村民のひとりである。グータラだが・・・。

P3030084.jpg
これはシェアビレッジではなく この町にある古民家の囲炉裏です

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