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テレビのない暮らし

2016年02月19日 徒然日誌(余話)
 わが家にはテレビがない。
 そう云うと、たいがいの人が、えっ、と絶句する。絶句されるまでのことじゃないでしょと思うが、かなり意外なようで、いまどきねえ、といきなり変人扱いされたりもする。
 かつては、結構なTVおやじで、観もしないものをBGMのように流していたが、この町に引っ越す段になって、もういらないな、と捨ててきた。

 TVが耳目を集める力は凄い。ありとあらゆるテクニックで、視聴者の感動や好奇心、涙や笑いを誘う。世論への多大な影響力もある。質の高い番組もあり、TVから頂戴した知識もたくさんある。それでも、もういらないな、と捨てた。功罪相償うのである。いや、自分の場合は罪の方が多かったかも知れない。
 いま、TVがあって、そのスイッチを入れたら、きっと芸能人や、政治家や、元スポーツ選手などのゴシップが、したり顔のコメンテーターのもと、あぁだこうだと報道されるだろう。心を痛める陰惨な事件のニュースにも日常的に接することだろう。もはや、どれがどれだったか分からなくほど、この国は事件で覆われているかのようで、ネガティブな気持ちになる。
 廻すチャネルチャネルごとに、こちらの状態に頓着なく、一方的に垂れ流されるこういう情報の洪水から解放されて、せいせいしている。必要なものだけ観ればよいのだが、いずれ時間が拘束される。録画する手もあるが、そこまでしたいと思わない。だから、いらない。
 
 しからば、ニュースや天気などの情報をなにで得るかと云うと、ラジオであり、新聞であり、ウェブサイトである。NHK、民放ともに、オンデマンドサービスがあり、適宜、これも利用する。放送と通信が融合しつつある。ラジオは耳を貸せば良いし、新聞、ウェブ、オンデマンドは自由な時間に埋め込める。
 昨年のラグビーワールドカップ。南アフリカ戦のジャパンの勝利は、元ラガーとして心底感動した。深夜、雄叫びをあげた。生きているうちに、こんな瞬間に出会えるとは・・・。
 これはスパカーオンデマンドで観戦した。画質も優れ、清宮パパの解説も良かった。
 翌スコットランド戦は、中3日で過酷だったが、それにしても敵は用意周到だった。日本選手の集散がややにぶかったこともあるが、特に後半のデフェンスは鉄壁。そこで、スコットランドの他の試合もすべて観た。ジャパンとともに、ワールドカップを照準にして、最も準備のできたチームであったと思う。ジャパンが休養十分でもそうそう勝てる相手でなかったろう。
 ジャパンの試合は、応援気分満載だから実況で、スコットランドの試合は、寝不足を避けて保存動画で観た。
 欲しいコンテンツは、それに見合う対価を支払って入手する、ということだ。

 私たち夫婦の移住は「ふるさと回帰」にくくられる。鮭が、産まれ育った川に、次世代へのバトンタッチのために戻るようなものだ。だが、感覚としては、戻る、というより「突き抜けた」。地方に産まれ育って、都市部に出た人間が、その先にあるものを求めた、それが地方移住だった。
 TVもそうだ。教養や娯楽の文明利器として登場し、今やあらゆる茶の間を席巻するTVというものの先にあるもの。情報を得る手段としてとらえれば、TVを捨てることは、それがなかった時代に回帰することではなく、ちょっと未来な生活を手に入れることなのだと思っている。

 わが家にはテレビがない。
 そう云うと、そうですか、うちもそうです、と返ってくる。そういう会話をどこかで誰かとさりげなくかわしたいものである。

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ミニマリストが喜びそうな なにもない部屋

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