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雨の定休日

 今日は店の定休日で、外は雨。雨は昼にはあがり、やがて青空が広がったが、日長のんびりを決め込んだ。
 年の変わり目には「情緒」が動き、年度の節目には「ヒト」が動く、と云う。その言葉どおりに、このところはなにやら慌ただしかった。何人もがドンドン押しかける、という忙しさではないが、“どうしてもの定休日営業”やスペシャルなリクエスト等が立て続けに重なった。
 さまざまなリクエストにお応えしようとして、メニューを組み立てるのは、この商売の冥利であるが、ある意味、苦行でもある。温菜・冷菜、硬柔、彩り、味つけ、季節感などをバランスよく、かつ、心地よいリズム感でサーヴするにはどうしたら良いかを、四六時中呻吟している、といってもあながち過言でない。
 それから仕入れに走るが、その状況によってメニューを組み立て直さざるを得ないことが、ままある。ひとつが動けば、全体も揺らぐ。市場や直売所でメモを片手に、しばしたたずむことになる。そして、いよいよ仕込み。この仕事もすこぶる楽しいが、集中力が求められる。
 私には、料理人修行の経験がない。別の世界から、この道に飛び込んだ。だから、誠意を尽くして、この仕事にあたる、これしかないと、腹を括ってかかっている。肩の力は随分抜けてきた気がするが、いずれ全力投球だ。
 そんな中、今日は休息だ。
 ちょっと疲れた体と心にしみ入るような、ありがたい雨の日だ。

 そもそも雨は嫌いではない。
 今でも、幼い頃の光景を思い出す。雨がそぼそぼ降っていて、庭に紫陽花が咲いて、カエルが飛び跳ねていた。僕は、縁側にぽつんと座って、ずっとその庭を眺めている。頭も、心もカラッポになる気がして好きだった。
 これからの季節は、晴れるとやたらに気ぜわしい。朝、農園の作業に出れば、仕事が次から次にあるので、戻れなくなってしまう。昼食もテラスで弁当を摂り、夕方、暗くなるまで作業する。それでも、まだまだやることが山積みに残っている。
 野菜もハーブも、果樹や動物も、手をかけると、それにきちんと応えてくれる。そういうことが分かっているだけに、自分というもののエンジンがかかりっぱなしになってしまう。
 雨が降れば、それらはオフだ。
 ちょっと立ち止まってみるのだ。こうして、ブログなどの文章を思い浮かべるのも好きだ。言葉を綴ることによって、「自分の原点」と「今在るところ」と「行く末」とを、少しみつめさせてくれる。

 今日は定休日の雨。安息を決め込んだ。
 それではゴロ寝か、というとそうでもない。朝からガス台をフル稼働させ、ブイヨンやソースを仕込んだ。和牛のテール肉でつくるパスタソースなどは、昨日の昼からじっくり煮込んでいる。コトコト時間をかけて火を入れる調理は、こまめにアク取りしたり、ときどきは熱の状態や煮詰まり具合をチェックしなければならないので、こういう日がうってつけなのだ。
 “じっくり調理”の素材は、スジ肉や骨やアラ、クズ野菜など、一筋縄ではいかない暴れん坊ばかりだ。しかし、このものたちが時間と手間をかけることによって、高級食材を凌駕する逸品になったり、料理の基礎をつくってくれたりするのだから面白い。
 優等生は、なるべくいじりまわさないで、素の良さを出せば良い。一見の劣等生は、じっくり時間をかけて育てる。そうすれば、優等生たちの及ばない領域でとんでもない力を発揮する。どうも、人間の世界も食の世界も同じことらしいな、と独り言をつぶやいている。
 比内地鶏のガラとクズ野菜でとったブイヨンは、黄金色に輝いている。トマトソースも完成したし、和牛テールの煮込みは、香味野菜やワイン、トマトとほど良くひとつになった。数日間、熟成させれば絶品のソースになる。これらを口にしたお客の笑顔が浮かんでくる。
 ああ、いい休日だった。

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